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報告書 部会・研究会 | 組織と活動 | 触媒学会

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Academic year: 2018

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6. 部会・研究会アニュアルレポート

コンピュータの利用研究会

1.研究会の目的

コンピュータは現在あらゆる分野において利用され、我々の生活にも深く関わりを持つよ

うになってきた。触媒研究においても例外ではなく、基礎研究から生産現場に至るまで不可

欠な道具となってきている。触媒におけるコンピュータの利用は益々活発化し、計算化学に

よる新しい触媒設計などの飛躍的進歩が見られるとともに、新たなコンピュータの利用方法

も増えてきた。密度汎関数法、post Hartree-Fock法、分子動力学法、モンテカルロ法、第一原

理分子動力学法、Tight-Binding 量子分子動力学法はもとより、粗視化手法、ニューラルネッ

トワークなど多様な手法が活用されている。さらに急速な進歩を遂げている機械学習やディ

ープラーニングなどの情報科学と計算化学の融合によるマテリアルズ・インフォマティック

ス、つまり触媒材料のハイスループットスクリーニングに大きな期待が高まっている。この

ような背景のもと、当研究会では、コンピュータを利用した触媒研究の発展を目指して、原

子レベルの電子状態計算による触媒反応機構の検討から、メソ・マクロスケールの触媒層の

物理化学的描像の解明、原子レベルの現象がマクロスケールの触媒機能や触媒劣化に影響を

与えるマルチスケールシミュレーションへの展開に関して、国内外における講演会の開催な

どを通して議論を行うとともに、実験系の講演会との共催による計算化学と実験の融合およ

び実際のものづくりへの発展を推進することを目的とする。

2.研究会活動の概略、動向、展望

今年度で第10期の1年目(通算28年目)を迎えた。平成29年度の主な活動は下記の通り

である。第 120 回触媒討論会「コンピュータ利用」セッションに参加し、依頼講演として斉

田謙一郎先生(北海道大)「触媒の反応経路ネットワークとその解析」、塩田淑仁先生(九州

大)「触媒反応は計算化学でどこまで明らかにできるのか?」にお願いし、それに加え一般講

演12件というセッション内容で活発な議論が行われた。また、平成29年度触媒学会コンピ

ュータの利用研究会セミナーを、平成29年11月24日(金)に三菱重工横浜ビルにて開催し

た。世古敦人先生(京都大学)による「材料科学データにおける機械学習の応用」、リントゥ

ルオト正美先生(京都府立大学)による「量子化学計算によるプロトン、電子移動を伴う金

属タンパク質の酵素反応機構の解明」、そして村岡梓先生(日本女子大学)による「有機分子

の電子状態と計算科学の世界」という招待講演3件による講演会を行った。参加者約20名で

活発な議論が行われた。

第10期では、前期に引き続き、コンピュータ利用における様々な学びの場やツールを提供

するとともに、大学・研究機関など基礎・応用研究の現場と企業など技術開発の現場との連

携・交流に繋がるイベントも企画していく。

3.世話人代表

馬場好孝

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第三編 触媒学会活動記録

事務局 久保百司

〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学 金属材料研究所 TEL: 022-215-2050 FAX: 022-215-2051 E-mail: [email protected]

4.トピックス

今年度ご依頼した先生方には、有機・無機と分野は違えど、反応経路に関する研究を中心

にご講演いただいた。触媒研究において反応経路に関する検討は必要不可欠であり、まさに

計算化学が貢献できる分野の一つであろう。近年の計算機性能の向上に頼るだけでなく、反

応経路シミュレーション手法の精緻化に加え、自動化に関する取組も行われ始めており、今

後ますますこの分野が進展していくと考えられる。

触媒討論会では、斉田謙一郎先生に金属表面での小分子の異性化・分解経路ネットワーク

のマッピングと、反応予測の可能性についてお話いただいた。反応物を人工的に押し付け、

反応過程を迅速に探索する AFIR 法は、反応機構の初期推測を必要とせず、自動探索が可能

となる。気相だけでなく固体系の計算にも適用すべく、マイグレーション効果を取り入れた

経路ネットワークの地図を作成し、モデルサイズによらない複雑な系の反応解析や反応予測

へと研究を進められている。塩田淑仁先生には、メタン活性化に関する金属活性種とその反

応機構の解明についてご講演いただいた。メタンはHOMO-LUMOギャップが大きく、C-H結

合エネルギーが大きい最も不活性な炭化水素である。反結合性軌道に電子を有し反応性の高

いFeO

+

に着目し、メタンからのメタノール生成反応やC-H結合の水酸化における反応機構を

解明された。ただ酵素反応においては中心部分の量子化学計算は可能だが、周辺部まで含め

て計算するのは困難である。今後いかに適用範囲を広げていくかが課題となる。

研究会主催セミナーでは、世古敦人先生に材料科学データにおける機械学習の応用と題し

て、第一原理計算と機械学習による原子間ポテンシャル、および推薦システムを用いた新規

無機化合物の予測に関する研究成果をご紹介いただいた。エネルギーと結晶構造の関係を回

帰分析し、角度依存性も考慮した原子間ポテンシャルにより、予測誤差を著しく低減するこ

とに成功された。また化学組成のみから定義される類似性から、新規化合物の候補を推薦す

るシステムのご紹介もいただいた。リントゥルオト正美先生には、量子化学計算によるプロ

トン、電子移動を伴う金属タンパク質の酵素反応機構の解明についてご講演いただいた。銅、

亜鉛を含む細胞外活性酸素除去酵素(SOD3)の触媒反応機構を、QM/MM を用いた詳細な

計算により、プロトン、銅の還元の順序や第二配位圏のアミノ酸の役割を明らかにされた。

村岡梓先生にはキラリティと有機太陽電池に関する研究成果をご紹介いただいた。らせん高

分子の向きが反転する際の反応経路に関して、DFTとMDを用いて計算されている。テトラ

オルトフェニレンの反転における遷移状態は、一か所のみ平面構造がある状態で、末端から

反転していき、周囲の溶媒の電子が反転のトリガーになることを解明された。

最近のインフォマティックスに対するクローズアップのトレンドも手伝って、コンピュー

タの利用研究会は、触媒討論会でのセッションの発表件数、聴講者数ともに増大傾向にある。

本研究会は、次年度も引き続き分野にとらわれない学際的シミュレーションやシミュレーシ

参照

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